神戸の農漁業を、様々なクリエイターと惟る ノーギョギョ ギョギョ ギョギョー ラボラトリーズ

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グッゲンマジック

2023.01.11

グッゲンハイムに行くのはひと月ぶり。
るんちゃんと「なれずし」の話をしながら太陽を見送ったのがつい先日のようだ。

※噛めば噛むほど謎が深まる「なれずし」については前回のレポートをチェック!

 

冬至も近づき、陽が沈むのも早くなった。電車を降り、駅から一歩出ると暗闇に包まれる。

空を見上げると、たくさんの星が塩屋の町を覆っている。

寒さと闘いながら、電灯を頼りに通り慣れた道を辿る。

踏切をわたると、やさしいオレンジの光に包まれたグッゲンハイム邸が浮かび上がってきた。

 


足を踏み入れると「グッゲンマジック」にかかる。

時間の流れがゆっくりになったり、嬉しさが倍になったり、優しい気持ちになったり。

グッゲンハイム邸を出る頃には、心があたたかいもので満たされている。

それがグッゲンマジックだ。

 

寒空にぶら下がる白熱電球のアーチくぐり、ドアを開ける。

あたたかい空気に肩の力が抜ける。

 

温められた部屋は、凍った体を溶かしてくれる。

会場にるんちゃんの姿を見つけると、緊張もほぐれた。

手招きしている笑顔の隣に座る。

 

本日は、愛媛県THE CENTRAL MARKET を運営する株式会社NINO代表の二宮敏さん、

広島県にある瀬戸内醸造所を立ち上げた太田祐也さんの講演だ。

本日の講演者は、お二方とも瀬戸内地域に住んでいる。

彼らは私が知らない瀬戸内の景色や空気、ひとくくりにはできない瀬戸内のおいしさを知っているのだろう。

講演を聞いて、地域の中に入り込むことが大切だと思った。

様々な活動を、まちに密着して、地域の人と共に作り上げていく。

二宮さんも太田さんも、

その過程で得られる気づきや、築き上げられるものがあると、

人の縁に支えられて今があるとおっしゃっていた。

その土地の人との繋がりや付き合い、

深く地域に入り込んだり、同じ目的に向かって突き進んだり。

地域をよくしたいという想いに共感してくれる人同士が繋がり、

一丸となって進めていく中で目的へのギャップが埋まり、一つになっていく。

誰かの想いは、誰かを動かす力を持っているのだと、話を聞いて感じた。

 

来週からラボ6は、フィールドワークで瀬戸内海に面した県を巡る。

短期集中! 内容盛りだくさん。いや、てんこ盛り!!の一泊二日だ。

岡山・広島・山口と、愛媛・香川・徳島。全て車で移動する。

車窓を流れる景色の想像がふくらむ。

海の向こうの、山のその先。

その土地の風土や歴史、目には見えない人々の繋がり。

そこにはどんな景色が広がっているのだろうか。

 

二宮さんと太田さん、ふたりともかけている黒いメガネ。

あのグラス越しに、彼らはどんな景色を見ているのか。

二宮さんと太田さんが紡ぐことばで、間接的に瀬戸内を知る。

今回の講演で耳にした瀬戸内海を、来週は目にする。

瀬戸内海は、わたしたちの目にどう映るのだろうか。

講演会が終わり、学生とクリエイターの皆さんで意見交換をする。

話を聞いて感じたことや考えたこと、それを踏まえて今後の活動にどう活かすか、ワークシートに書いていく。

感じたことをことばにするのは難しく、なかなかまとまらない。

 

講演中、何度も心が動く瞬間があった。

その振動が繰り返され、頭の中に蓄積された。

そこからこの文字は綴られている。

 

短い間で沢山刺激を受けた。

この新鮮な感覚を忘れず、今後の活動にも活かしていきたい。

成果報告として形にする前の、今の時期。

足を運んで行ったからこそ得たものや感じたことを大切にしていきたいと思った。

 

たくさんお話しを聞いて、いろいろ吸収して。

とても濃い時間だったなぁ、と言っているかのように

お腹がキュ〜とひと鳴り。体内時計は正確だ。

マスク越しに鼻も働き、美味しい匂いをキャッチ。

 

本日の晩ごはんは、神戸生まれ神戸育ちの食材で作られた逸品の数々。

大皿に盛られた、できたての料理をいただく。

本日のメニューは……

旨味が凝縮された真鯛のアクアパッツァ

目でも舌でも楽しめるかぶと柿のマリネサラダ

こぶしサイズのサクサクホクホク里芋コロッケ

包みを開けた瞬間しあわせが溢れる玉ねぎのホイル焼き

マルっとギュギュッと美味しさ詰め込まれたしいたけシューマイ

お米と心が芯から踊る小松菜としらすの混ぜごはんに、鯛めし

できたてのごはん。体も心もほっかほかにあたたまる。

ひとつの机を囲んで食べるごはん。

自然と会話が生まれ、Labを越えた繋がりもできた。

それぞれの活動についてや、大学、バイトのこと。

ノーギョギョ以外のことを話しても、不思議と話題は「食」たどりつく。

「アルバイトは八百屋で……」

「この前こんな山盛りごはんを食べて……」

ひとりとひとり、この会場に来たときは名前も知らなかった違うLabの、ノーギョギョメンバー。

点と点が繋がって線となり、会話が弾んで輪となる。

人の縁は気づけばひとつの円になり、ぐるっと机を囲む。

これもグッゲンマジックのひとつなのかもしれない。

晩ごはんは楽しい宴となった。

これからまた一段と寒くなり、暖かい食べ物が身に染みる季節になる。

Lab6の12月の活動は、本格的なフィールドワークが中心だ。

瀬戸内の郷土料理を巡り、各県の違いや共通点を見つけていく。

兵庫県と同じ瀬戸内海を囲んでいる、遠方の県との縁も見つけていきたい。

 

武庫川女子大学 矢野百花

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